歯科医院でも導入が進むAMR
近年、レストランにおいて配膳ロボットの導入が進んでいます。多忙な飲食業界において、ロボットがウェイターとしての役割を果たし、注文品の配膳を担当する姿が一般的になりつつあります。
配膳ロボットはAMR(Autonomous Mobile Robot: 自律移動ロボット)という製品カテゴリに含まれ、AMRは人のかわりにモノを運ぶサービスロボットとして近年、様々な分野への導入が急拡大しています。
AMRは私達の身近なレストランで目にするようになる以前から、物流倉庫等での導入が進んでいました。
特に少子高齢化の進む我が国日本では、医療分野における人手不足/患者増という背景もありAMR/サービスロボットへの期待は高まるばかりです。
その医療分野においても深刻な人手不足を抱えているのが、歯科診療の分野です。
歯科医療の人手不足の現状
一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会がまとめた『歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告』によると、2021年度における新卒歯科衛生士の有効求人倍率は22.6倍と、非常に高い水準となっています。
出典: 「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」より
これに対応するため、多くの歯科医院が自動精算機や受付機などの導入を進めています。 そのため、最近では受付を無人のシステムで行っている歯科クリニックを見ることも珍しくなくなりました。
そうした省力化の努力は、少ない人員スタッフで効率的な診療を可能にし、それが患者の待ち時間短縮につながります。そして近年さらに、予約や受付やカルテといった事務作業だけでなく、物理作業にも省力化の波が拡がっているのです。
サービスロボットで「医療の質」を上げる
人員スタッフが行っている物理作業をサービスロボットが代替することで、さらなる省力化が可能になり、歯科医や歯科技工士、歯科衛生士といったスタッフは患者さんへの直接応対の時間を増やすことができます。つまり省力化は、医療の質を上げることにもつながるのです。
歯科医療におけるロボット導入の進展
もちろん従来から歯科医療では既に、手術支援ロボット、歯科治療用ロボット、教育用ロボットなどが活用されてきました。これらも歯科医療の質を向上させるのに非常に役立っています。しかしそれを使って質の高い医療行為を人員スタッフが行う時間が確保できなければ意味がありません。
実際、歯科衛生士や歯科技工士といった有資格者が、単純なカルテ運びや治療後の片付け、滅菌処理のための器具の運搬などにかなり多くの時間を割かれてしまっているのが現状なのです。
本来、専門的な医療行為に割くべき有資格者の時間が削られるのは非常にもったいないことです。
そこで最近、治療器具の運搬にAMR(自律移動ロボット)を導入する歯科医院が増え始めています。運搬作業のような単純なタスクをロボットに任せることで、貴重な有資格スタッフが、患者の医療行為に専念できるようになります。
AMR導入がCS(カスタマーサクセス)に貢献
自律移動ロボットは、歯科医や歯科衛生士が各ユニットと滅菌室などを1日に何十回も往復する移動、運搬業務を代替します。また、各ユニットで共通で使う器具などの運搬も自動化することができます。その結果、医療スタッフは患者との診療時間をより多く確保し、医療品質とくに患者とのコミュニケーションを深めることが可能です。
患者とのコミュニケーション面での医療品質改善は、何よりも患者満足度を高めます。そのため、当初は人員不足やコスト削減という観点での課題感をもって検討と試験導入を行った歯科クリニックが、顧客満足度向上という想定外の便益を得たことに満足しコスト対効果とは別の観点で本格導入に踏み切る、というケースもあります。
AMR(自律移動ロボット)の選び方
自律移動ロボットにはさまざまな種類がありますが、選定のキーポイントとなるのは主に以下の3点です。
- 既存の歯科医院の環境のままでも利用できること:既存の歯科医院の環境に適応できるロボットであることが重要です。
- 誰でも簡単に使えること:簡単に操作できるロボットであれば、スタッフのトレーニング時間を短縮し、導入コストを抑えることができます。
- 遠隔でも呼び出すことができること:リモートで操作できる機能があれば、効率的にロボットを活用することが可能です。
カチャカの特徴と利便性
例えば(手前味噌になりますが)、弊社Preferred Roboticsのカチャカという自律移動ロボットは、歯科医院での利用に最適な機能を備えています。
- 55cm幅を通れる:カチャカは小型で精度の高い移動が可能であり、狭い院内でもスムーズに移動できます。
- スマホアプリで簡単設定、操作が可能:カチャカはスマートフォンアプリを使って簡単に設定や操作ができ、カスタマーサポートによるリモートサポートも充実しています。
- オプションのカチャカボタンで簡単呼び出し:オプションとして提供されるカチャカボタンを利用することで、どこでもボタンを押すだけでロボットを呼び出したり、移動させたりすることが可能です。
まとめ
歯科医療における自律移動ロボットの活用は、現場の人手不足を補い、医療スタッフの負担を軽減し、患者へのサービス向上につながる重要な技術です。
特にカチャカを始めとする、アプリやボタンで簡単に操作できるユーザインタフェースを備えた使い勝手の良いロボットは、今後さらに普及し歯科医療の未来を支える一翼を担うようになるでしょう。